自由研究は何をしようかと悩んでいませんか?中学生くらいになると、少しレベルアップした自由研究にしたいですよね。しかし忙しい中学生には時間がない。そんな中学生にオススメなのが「野菜やジュースからDNAを取り出す実験」です。材料も近くのコンビニで揃えられて、実験も短時間でできますよ。
DNAを取り出すというと、とても高度な実験に思えますが、野菜やジュースを使うことで簡単に行うことができます。今回は自由研究にオススメの「野菜のDNAを取り出す方法」を調べてみました。
野菜やジュースからDNAを取り出してみよう!
生物の細胞の中には「核」という部分があります。核の中には染色体と呼ばれるDNA(デオキシリボ核酸)があり、遺伝情報が含まれています。この生物の設計図ともいえるDNAを野菜から取り出してみましょう。
DNAを詳しく説明すると
親と子の姿や形がよく似ているのは、遺伝子が親の性質を子に伝えるからです。遺伝子とは生物の姿や形、性質の特徴を伝える情報のことで、その情報は生物の細胞の核にしまわれているDNA(デオキシリボ核酸)に記憶されています。DNAは塩基とよばれる要素が二重のらせん状に長くつながったもので、その塩基の並び順が遺伝の情報となっています。
DNAの抽出
生物の細胞の中には「核」というものがあります。DNAはそれぞれの核の中でコイル状に巻き付いていますが小さすぎて普通の顕微鏡では見ることができません。そこで核から取り出して大量に集めることで、肉眼で確認できるようにします。抽出のときに、台所用洗剤を入れるのは、細胞膜などをこわして核を取り出しやすくするためです。また、食塩水を入れるのは、食塩と細胞のタンパク質を結合させ、DNAから分離させるためです。さらにエタノールを使うとタンパク質が沈殿してDNAが浮かび上がるのです。この実験で、抽出した糸状のものは、正確にはDNAをふくむ物質ということになります。
ブロッコリーから遺伝子(DNA)を取り出す実験
★準備するもの
・新鮮な野菜 ※ブロッコリーの花芽や玉ねぎがおすすめ
・食塩 ※塩化ナトリウムだけのものが良い
・台所用洗剤 ※除菌効果などがないものが良い
・消毒用エタノール
・すり鉢とすりこぎ
・軽量カップ、軽量スプーン
・透明のプラスチックカップ・・数個
・茶こし
・割り箸
・まな板
・包丁
★実験の方法と注意点
①計量カップに食塩小さじ1.5杯、台所用洗剤小さじ1杯を入れ、水を加えて全部で200mlになるようにします。よく混ぜます。※DNA抽出液になります
②茶こし一杯分くらいのブロッコリーの花芽の部分または、玉ねぎの粗みじん切りにしたものを、すり鉢でペースト状になるまですりつぶします。最初は押しつぶすように、しっかりとつぶしていきます。大きなすり鉢とすりこぎなら3~5分くらいつぶします。小さめのすり鉢の場合は5~10分くらいすりつぶした方が良いでしょう※野菜はみじん切りにして冷凍しておくと良い
③すりつぶしたものに、①で作ったDNA抽出液を加え、軽く混ぜたらしばらくそのままにしておきます。※DNAは壊れやすいので何度もかき混ぜたりしてはいけません。
④30分ほど置いたら、茶こしでこします。
⑤こした液体は何回か実験するためと、失敗した時のために、透明のプラスチックの容器に2~3個に取り分けます。
⑥別のカップにエタノールを取り分けた液の約3倍量入れます。抽出液の液面近くの容器の壁に割り箸を付け、エタノールを割り箸を伝わらせて静かに加えて抽出液の上にエタノールの透明な層を作ります。
⑦放置しておくと下の液面からDNAの白い沈殿がエタノール層に浮き上がってきます。
⑧割り箸などで巻き取るようにするとネバネバした半透明のDNAを巻き取ることができます。液面から離し、しばらくして沈殿を巻き取るようにすると多く巻き付いてきます。これが遺伝子を含むDNAです。この沈殿を含むエタノール層をさじなどで小さなビンに移しておくとDNAを保存しておくことができます。
DNAを取り出しやすい野菜
DNAは通常、細胞中1個の細胞核に含まれるので、細胞が小さい方が全体の細胞核の数が多いくなります。実験でしっかり取り出すためには、限られた量の中でたくさんの細胞核があったほうが良いですよね。ブロッコリーの花芽や玉ねぎは、細胞は小さいですがその分数が多いので実験しやすくなっています。また果物などは細胞が大きく液をたっぷり含んでいる為、細胞核の割合が少なくDNAを抽出するのには不向きです。
参考になる自由研究テーマ・実験方法・まとめ方が見つかるかも知れません!
ジュースでもDNAを取りだせる?~お手軽に実験~
★準備するもの
・グレープフルーツorオレンジジュース(果汁100%)※必ず果汁100%のものを使用して下さい!
・コップ
・無水エタノール(30ml)※薬局かインターネットで購入できます
★実験の方法と注意点
①ジュースとエタノールはよく冷やしておきます
②ジュースとエタノールが十分に冷えたらコップにグレープフルーツジュースを30ml入れます。
③さらにエタノールを30ml加えます ※エタノールを加える時はジュースの水面を波立てないようにコップの縁に伝わらせて入れるなどして静かに加えます。
④エタノール層がジュースの層の上にできて二層ななります。
⑤そのままの状態を30分程、放置します。
⑥しばらくするとジュースとエタノールの境界線くらいから白いモヤッとしたものが浮かび始めます。
⑦気泡と一緒にDNAが浮かび上がっていきます
⑧これがグレープフルーツのDNAです
失敗しない!DNAを取り出すコツと注意点
野菜を使って実験する場合のコツ
・洗剤は高機能(ジョイ等の除菌効果が付いていないもの)なものではなく簡単な洗剤(100均などの洗うだけのものを選ぶ)食塩も味塩などではなく、塩化ナトリウムのみ入っているものを選ぶ。
・野菜はブロッコリー(花芽の部分)や玉ねぎがよい。野菜はよく冷やしておくか、そぐようにして切り刻み冷凍しておく
・果物等は実験に不向き。
・DNA抽出液(洗剤・食塩・水の混合物)の量は食塩7.5ml(小さじ1.5)、洗剤約5ml(小さじ1)、に水を加えて全部で200mlにすると、野菜のすりおろしは量は一般的な茶こし1杯分くらい。
野菜とジュースの実験に共通する注意点
・DNA抽出液と加えた後に混ぜ過ぎないこと(DNAはもろいので、すぐ壊れてしまうので1度ぐるっとかき混ぜる程度で良い)
※洗剤が入っているので、ここで作った物は絶対に食べたり飲んだりしないで下さい!
あとがき
DNAを取り出す実験はていねいに行わないとうまくDNAは出てきません。DNAがうまく出せなかった時は「野菜が新鮮でなかった」「野菜の量が少なかった」「材料をよく冷やして置かなかった」「時間をかけすぎた」などの原因が考えられます。ここで紹介した実験ではDNAを取り出すことはできましたが、DNAであることを確認することはできませんでしたので、今後の発展研究として挑戦してみても良いですね。