木炭が電池になることを知っていますか?木炭とはバーベキューなどの時に使う炭のことです。この木炭、電気が普及する前の日本では、冬はコタツの中に入れて暖房として使ったり、台所では火を使う料理の時に使用したりと、大切な熱源として幅広く使われてきました。昔は大活躍だったこの木炭の性質と電気のできる仕組みを調べてみました。自由研究のテーマに悩まれている中学生にぜひおすすめです!
木炭(備長炭)で電池を作る実験をしよう!
木炭には冷蔵庫の中に入れておくと嫌なニオイを吸い取ってくれる(吸着する)ことは知っている方も多いと思います。この木炭には冷蔵庫の中の匂いだけでなく空気中の酸素も吸着する性質があります。これが電池のプラス極としてはたらきます。この実験では備長炭を使って電気の流れる仕組みを調べます。電子メロディをつないで木炭電池で作った電気をためしてみましょう。
備長炭電池の作り方
★準備するもの
・木炭(備長炭)※炭は必ず備長炭を使って実験して下さい。
・アルミホイル
・ティッシュペーパー(3枚)
・ビーカー
・プラスチックコップ
・プラスチックスプーン
・みのむしクリップ付き導線
・懐中電灯
・電子メロディ
・食塩
・水
・乾電池(単1電池)
※備長炭を必ず使う理由は電気を通しやすいからです。備長炭は高温で焼かれるため電気が通りやすいですが、普通の木炭は低温で焼かれるため電気をあまり通しません。そのため、木炭だと発電量が少なく音を鳴らしたり、LEDを光らせたりすることが難しいです。
★実験の手順
①備長炭は水につけて、沈んだ炭を選んで実験に使います
②水に対して3分の1くらいの食塩を入れて、できるだけ濃い食塩水を作ります。
③備長炭を洗って水を切ります。先端部分は濡らさないように、食塩水に1分くらい浸します。
④ティッシュペーパーを食塩水に浸します。
⑤備長炭に④のキッチンペーパーを先端が出るように巻きつけます。
⑥さらにティッシュペーパーの上からアルミホイルをきつく巻きますが、アルミホイルが備長炭に触れないように巻きます。もう片方の先端は、アルミホイルをねじって電極を作ります。
⑦電子メロディの導線の赤を乾電池の+に、黒い導線を-につなぎ、音が鳴ることを確認します。
⑧みのむしクリップの赤を備長炭と電子メロディの+に、みのむしクリップの黒をアルミホイルと電子メロディのマイナスにつなげます。
⑨メロディが鳴ったら成功です。
⑩成功したらアルミホイルをはがして裏から懐中電灯で照らして穴が開いている事を確認してみましょう。
参考になる自由研究テーマ・実験方法・まとめ方が見つかるかも知れません!
備長炭が電池になる仕組み
備長炭はウバメガシなどの木を高温で蒸し焼きにした白炭といわれるもので、バーベキューなどに使われる、かたい炭です。普通の炭に比べて不純物が少ないので電気を通しやすく、非常に小さな無数の穴があるため、酸素が吸着しやすくなっています。電流はー(マイナス)の電気を帯びた電子が導線に流れることによって発生します。電池では、ー(マイナス)の電極になる金属が電池中の水溶液にとけ出し、その時に放出された電子が+(プラス)の電極に移動することによって電流が流れる仕組みです。
この実験では+極となる備長炭にあいている細かい穴の表面についている酸素が電子を受け取るはたらきをします。このような酸素を利用する電池を空気電池と呼びます。
電子とは?
電子とは、マイナスの電気をもった小さな粒のことをいいます。この電子は-(マイナス)の電気をもっているので、電池のプラス極の方へ引きよせられます。そのため、電子はマイナス極からプラス極へと流れます。この電子の移動を電流といいます。
備長炭電池の原理とは?
乾電池の外側の亜鉛の作用が外に巻いているアルミホイルになります。乾電池のプラス極の炭素棒が備長炭ですが、それ以外に備長炭の細かい孔に含まれている空気中の酸素が乾電池の中の二酸化マンガンの役割もはたして、アルミが溶けて電子を出し、電線を通って備長炭の上で水と酸素が電子の力で結合するのです。アルミホイルが電池の-極、木炭が+極の役割をしているのです。
考察してみる
実験に使ったアルミホイルを見ると、細かい穴がたくさん開いています。これはアルミホイルがキッチンペーパーにしみ込んだ食塩水に触れて溶けてしまったからと思われます。アルミニウムという金属を薄く平らに延ばしたものがアルミホイルになります。アルミニウム原子が食塩水に触れると溶けることで、同時にマイナスの電気を発生します。電気は木炭に向かい、木炭に含まれた酸素と結びつき、この電気がリード線を通ってモーターを回すことと思われます。
備長炭電池の結果と失敗しないポイント!
もし木炭電池を作って電気が流れるのかを調べてうまくいかなかった時は「失敗しないためのポイント」を解決のヒントにして下さい!
失敗しないためのポイント
1.[実験の手順②]で食塩水が薄くないですか?
2.[実験の手順⑤]でキッチンペーパーが破けていませんか?
アルミニウムと木炭が直接接触したらショートしてしまいます。キッチンペーパーはショートを防ぐため大切です。
3.[実験の手順⑥]で巻いたアルミホイルが備長炭に触れていませんか?
4.[実験の手順⑥]で巻いたアルミホイルがゆるくありませんか?
手で握ってみて、しっかり巻いて下さい
5.使った木炭は備長炭ですか?
たたいた時に金属のようなカンカンと音がするはずです。かたいほど電流が良く流れるようです。
6.20秒程で、ほとんどの電球がつかなくなります。
これはいわゆる「電池切れ」に近い状態です。(ボルタ方式の電池なので、分極もおこっているかもしれません)アルミホイルがボロボロになるといわれていますが、1分や2分ではあまり変わりません。しかし、アルミホイルを新しくすると、また豆電球がつきます。
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まとめ
アルミニウムは、ナポレオンの時代は、鉱石から金属にするのがとても難しく、金よりも高価な金属でした。酸素と結合しやすいので、酸素とアルミニウムが結合する時に発生するエネルギーを使って電池を作りました。今回ご紹介した作り方は一つの例に過ぎません。もっと電流を大きくするにはどうしたら良いのか、化学の反応を考えて電池の出力を大きくする工夫をしてみるのも発展研究として面白いですね。