例年、秋から冬にかけて流行するインフルエンザは、感染したら、48時間以内に治療薬を服用しないと効果が出にくいといわれています。このインフルエンザの治療薬にはおもに「タミフル」「リレンザ」「イナビル」「ラピアクタ」が使われています。今回はこのインフルエンザ治療薬の違いや特徴・副作用などについて調べてみました。
インフルエンザの治療薬
インフルエンザB型の治療には、インフルエンザウイルスの増殖を抑え症状を緩和させる効果がある抗インフルエンザ薬が使われます。この治療薬の最大の効果が期待できるのは症状が出てから48時間以内に服用することですが、服用したのが発症後48時間を過ぎていた場合でも効果がないわけではないので、薬はしっかりと服用しましょう。
【タミフル】オセルタミビルリン酸塩
インフルエンザの特効薬として2001年に国に認可されました。インフルエンザウイルスの増殖を抑えることで、重症化を防ぐことができる薬剤です。効果的な使用方法は、インフルエンザの症状が出始めたら48時間以内に服用すること。48時間を過ぎてしまうとインフルエンザウイルスの増殖がおさまるので、服用しても薬剤の効果がほとんどありません。
《タミフルと異常行動の関係について》
一時期、タミフルと異常行動の関係について話題になりましたが、厚生労働省は「タミフル服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に発現する場合がある」と結論づけています。インフルエンザの異常行動の原因としてタミフルの名が多くあげられますが、他の抗インフルエンザ薬でも異常行動の報告はあります。また薬を服用していない場合やインフルエンザの時に使用できる解熱剤を飲んだ後でも、異常行動が現れたという報告があります。つまり、インフルエンザに罹ること自体に異常行動を起こす可能性があり、服用する薬もほとんど関係が無い、といえます。
・厚生労働省:インフルエンザ治療開始後の注意事項についてのお願い
・厚生労働省:10歳代のタミフル服用後の転落・飛び降り事例に関する副作用報告について
【リレンザ】ザナミビル水和物
リレンザは専用の吸入器を使って1日2回・5日間にわたってパウダー状の薬を口から吸入します。インフルエンザウイルスは呼吸と一緒に吸い込まれ、気道で増殖するため、粉薬を直接気道に届ける事で即座にウイルスの増殖を抑えることができます。症状を早く緩和するため、最初の1回目はできるだけ早く吸入することが大切です。しかし症状が軽減されたからと言って、薬を途中で止めるとインフルエンザウイルスが再び増殖してしまうこともありますので、5日間忘れずに続けます。
【イナビル】ラニナミビルオクタン酸エステル水和物
イナビルはリレンザと同様に、粉末を吸入するタイプの治療薬です。この治療薬の特徴は長時間効果が持続する薬なので1回の使用で治療を完了します。そのため飲み忘れや吸入し忘れることがありません。しかし1回の治療でしっかりと薬を吸入する必要があるので、病院で医師や看護師の指導を受けながら吸入するのが安心です。
【ラピアクタ】ペラミビル
ラピアクタは点滴注射薬になります。薬のカプセルを飲んだり、粉薬を吸入したりするのが困難な感染者に投与することができます。またインフルエンザ脳炎や合併症・重症化の疑いがあり、入院が必要な場合に使用されることが多いです。
抗インフルエンザ薬の特徴と副作用
インフルエンザの特効薬として使用されている、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ点滴薬は服用方法や服用量が違います。また報告されている副作用も以下のようになります。
商品名 | 有効な型 | 服用方法 | 服用量 | 副作用 |
---|---|---|---|---|
タミフル | A・B型 | 経口 | 1日2回/5日間 | 下痢・嘔吐・吐き気・腹痛・じんましん |
リレンザ | A・B型 | 吸入 | 1日2回/5日間 | 下痢・発疹・吐き気・動悸 |
イナビル | A・B型 | 吸入 | 1回のみ | 下痢・悪心・胃腸炎・蕁麻疹 |
ラピアクタ | A・B型 | 点滴 | 1回のみ | 下痢・白血球減少・嘔吐・蛋白尿 |
年齢別による抗インフルエンザ薬の選択目安
タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ点滴薬などの抗インフルエンザ薬は、患者さんの年齢や状態を見極めて使用することになっています。治療薬は必ずしも全員の感染者に対して必要とはせず、状態を確認した上で使用の必要性を慎重に検討して処方することになっています。
タミフル | リレンザ | イナビル | ラピアクタ | |
0歳~1歳未満 | ☆ | × | × | ● |
1歳~5歳未満 | ☆ | × | △ | ● |
5歳~10歳未満 | ☆ | ◯ | ◯ | ● |
10歳~20歳未満 | △ | ☆ | ◯ | ● |
20歳以上 | ☆ | ☆ | ◯ | ● |
☆:推奨 ◯:使用可 △:進められない ×:使用不可 ●:入院を要する患者向け
・抗インフルエンザ薬は0歳~生後2週間未満児には使用しません。
・10歳~20歳未満のタミフルの使用は厚生労働省からの連絡に従い原則使用しません。
インフルエンザの予防的投与って何?
予防的投与とはインフルエンザ予防のために今回紹介したような治療薬を服用することをいいます。タミフル・リレンザ・イナビルがその対象になっており、身近な家族が感染した時などの水際作戦として有効です。しかし、自費診療となり、通常の治療の時とは用法・用量がことなりますので、医師の指示に従い、正しく服用しましょう。
治療薬は用法用量を守って最後まで使い切りましょう
病院で処方されたインフルエンザの治療薬がまだ残っているけど症状が良くなって元気になってきた!ということがよくありますが処方された治療薬は必ず最後まで使いきって下さい。インフルエンザの場合、症状がなくなってもウイルスが体内に残っているので、途中で治療をやめてしまうと、再びウイルスが増殖し始める危険性があります。医師の指示に従い、正しく服用して下さい。また少しでも「おかしいな」と思うことがあったらすぐに医師に相談して下さい。
まとめ
秋から冬にかけてインフルエンザは流行します。特に受験生の皆さんやそのご家族の方、大切なイベントなどで体調を崩せないような方は心配ですよね。インフルエンザの予防接種・手洗い・うがい・マスクの着用、後は免疫力を高めるために、バランスのとれた食事と十分な睡眠です。これだけ万全な予防をしていても掛かってしまうのがインフルエンザです。体調が「何かおかしいな」と思ったら外出を控え、医療機関を受診しましょう。
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