インフルエンザには”ウィルス”の他に”インフルエンザ菌”というのが存在するのをご存知ですか。毎年冬の時期に流行るインフルエンザは”インフルエンザウィルス”による感染症で、A型やB型というのはウィルスの種類を表したものです。インフルエンザ菌は、肺炎や気管支炎などの原因となる細菌の一種です。よく耳にするもので”ヒブ”という細菌がありますが、これはヘモフィルス・インフルエンザ菌b型のことです。
ヒブは鼻や喉から侵入し、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などの感染症を引き起こします。5歳以下のお子様がヒブ感染症にかかり、重症化すると、細菌性髄膜炎や肺炎になる恐れもあります。名前は同じですか、インフルエンザウィルスとインフルエンザ菌は全く違うものなのです。今回、インフルエンザウィルスとインフルエンザ菌の違いについて色々調べてみました。
そもそもウィルスとは?
ウィルスと細菌の違いがよく分からない…という方も意外と多いと思いますが、ウィルスと細菌は全くの別ものです。
ウィルスは、細菌よりも小さい微生物のため、特別な顕微鏡でしか見ることが出来ません。ウィルスは自分自身で増殖する能力がなく、生きた細胞の中で増殖します。増殖したウィルスは他の細胞に侵入し、更に増殖を続けます。これがいわゆる感染です。
ウィルスの増殖スピードは非常に速いですが、ウィルスは単体では生きていけないので、細胞内に侵入出来なくなれば、増殖終了になります。ウィルスには抗生物質が効きません。そのため、季節性のインフルエンザに感染した際にはタミフルやリレンザなどの「抗インフルエンザ薬」が処方されます。ウィルスの侵入を予防するにはワクチンが効果的です。
ウィルスの主な病気
・インフルエンザ
・ノロウィルス
・ロタウィルス
・RSウィルス
・アデノウィルス
細菌とは?
細菌は、顕微鏡で見ることが出来る微生物で、分裂を繰り返しながら繁殖します。病原体となるものが多く、栄養と水があれば、細胞が無くても自分の力で増殖します。食品やまな板、トイレなど、温度や栄養が適した環境であれば、どんどん増え続けることが出来る生物です。一般的には細菌には抗生物質の投与が効果的です。夏場の食中毒には十分に気を付けましょう。
細菌による主な病気
・食中毒 O157
・中耳炎
・膀胱炎
・結核
・肺炎球菌感染症
インフルエンザウィルスとは?
インフルエンザウィルスには毎年流行るA型やB型、それとあまり聞き慣れませんが、C型もあります。三種類のウィルスは特徴も異なり、症状も違います。主な特徴と症状は下記の通りです。
インフルエンザ ウィルス |
A型 | B型 | C型 |
---|---|---|---|
ウィルスの種類 | 144種類 (変異する) |
山形型とビクトリア型の2種類 | 1種類 |
ウィルスの感染 | 人、鳥、豚、馬などにも 感染する |
人にしか感染しない | 人にしか感染しない |
感染年齢 | 大人も子どもも | 大人も子どもも | 子どもが多い(5歳以下) |
流行する時期 | 冬(主に12~1月) | 春先(主に2~3月) | 通年性(主に1~6月) |
主な症状 | ・38度を超える高熱 ・全身のだるさ ・関節痛 |
・微熱が続く ・消化器系の症状 |
・鼻水・咳・微熱 |
インフルエンザ菌とは?
インフルエンザ菌は1800年代にインフルエンザが大流行した際にインフルエンザの患者から発見された細菌です。当時はインフルエンザ菌がインフルエンザの原因であると考えられため、「インフルエンザ菌」と命名されました。しかし、その後インフルエンザの原因は「ウィルス」であることが判明しました。
また、インフルエンザ菌は肺炎や気管支炎などの原因となる細菌の一種であることが分かりました。一度名付けられた菌名はなかなか変えることは出来ず、そのまま名前だけが残された…というわけです。
インフルエンザ菌に感染しても、季節性のインフルエンザや新型インフルエンザを発症することはありません。
インフルエンザ菌が引き起こす感染症
インフルエンザ菌が引き起こす感染症に“ヒブ感染症”と呼ばれる病気があります。ヒブとは、ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型のことです。ヒブは鼻や喉から侵入し、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などの感染症を引き起こします。
5歳以下のお子様がヒブ感染症にかかり重症化すると、細菌性髄膜炎や喉頭蓋炎、肺炎になり命に関わる恐れもあるとても怖い病気です。また、発達傷害、聴力障害など何らかの後遺症が残ることもあります。
インフルエンザ菌感染症(ヒブ感染症)を予防するには
インフルエンザ菌感染症を予防するにはヒブワクチンが効果的です。日本では、2011年よりヒブワクチンの公費助成が始まり、定期接種出来るようになりました。公費接種が始まって以降、細菌性髄膜炎の発症が98%減少しました。
ワクチンはヒブによる細菌性髄膜炎が発症しやすい生後6ヶ月までに3回接種し、1歳になったら追加接種を受けるのがベストです。ワクチン接種でヒブ感染症をしっかり予防しましょう。
まとめ
ウィルスと細菌の違いをお伝えしましたが、正直、私はウィルスと細菌の違いがよく分かっていませんでした。しかし今回調べてみて様々な違いがあることが分かりました。季節性のインフルエンザはウィルス性とハッキリ分かりますが、肺炎など(細菌性肺炎なのかウィルス性肺炎なのか)自分で判断出来ない病気もたくさんあります。
体調に異変を感じたら早めに病院で診てもらい、医師の判断に従いましょう。ウィルスも細菌もどちらにしても感染したくないものですよね。日頃からうがい手洗いを丁寧に行い、バランスの良い食事と規則正しい生活を心掛け、疲れを溜めないようにして、ウィルスや細菌が侵入しないように体力を付けておくことが大切です。
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