毎年12月~3月頃にかけて流行するインフルエンザ。インフルエンザにかかると急な38℃以上の高熱が2~3日続き、喉の痛みや頭痛、悪寒や関節痛など、とても辛い症状に悩まされます。小さいお子様や高齢者、慢性疾患を持っている方などは特に重症化し、インフルエンザ脳症や脳炎、肺炎などの合併症を発症し重症化するリスクもあります。

インフルエンザにかからない為には予防接種を受けることが大切です。しかしながら、予防接種を受けてもまたインフルエンザにかかってしまった・・という声もよく聞きます。今回、インフルエンザワクチンについての情報や、予防接種を受けた後でもインフルエンザに感染する理由、毎年予防接種を受けなければいけない理由や予防接種の効果期間について調べてみました。

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インフルエンザの予防接種しても感染する?

インフルエンザワクチンとは

インフルエンザを予防するために最も有効なのはワクチン接種です。感染症にかかると体内で抗体が作られますが、この抗体はその病原体を記憶していて、新たに侵入してきた病原体を攻撃してくれます。この仕組が免疫です。ワクチンを接種することでインフルエンザにかからなくても、体内に免疫を作ることができます。

インフルエンザは変異しやすい為、毎年少しずつ変化しています。何度もインフルエンザかかるのは、変異したインフルエンザウイルスに感染している為です。その為、ワクチンは毎年シーズン毎に流行しうる型を国立感染症研究所が選定します。WHOがワクチン推奨株を発表しますので、それも踏まえた上で選定されます。選定されたワクチン株はワクチン製造メーカーにて半年ほどかけて製造され、10月頃にはワクチン接種を受けることができるようになります。

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インフルエンザワクチンはどのように作られる?

インフルエンザワクチンは、ひよこになる前の孵化鶏卵に感染性を無くしたインフルエンザウイルスを注入して増殖させ、製造されています。卵1個から大人1人分しか作れないため、ワクチンを製造する為に1日に数百万~数千万個の鶏卵が使用されています。ただ問題となっているのは、最近のA型(H3N2)ワクチン株は卵馴化(たまごじゅんか)によって抗原性が変異してしまう事が多く、ワクチンの効果を低下させてしまうことがあります。卵馴化による抗原の変異は毎年起こりうることですが、その問題を回避するために鶏卵に代わり、培養細胞を使ったワクチン製造(細胞培養インフルエンザワクチン)の導入と実用化に向けて取り組みが進められています。

インフルエンザワクチンを接種してもなぜ感染するの?

感染とは、インフルエンザウイルスが鼻や口から体内に入り、体内の細胞に侵入して増殖する状態を指します。ウイルスが増殖を続けると1日~2日ほどの潜伏期間を経て発熱や喉の痛み、関節痛などの症状が現れます。その状態を発症といいます。インフルエンザワクチンは感染を防ぐ効果よりも、発症を抑える効果があります。ワクチンを接種することで症状を軽減させる効果が期待でき、重症化を予防する効果があるといわれています。

つまりワクチンを接種しても、絶対に感染を防ぐという訳ではありません。ワクチン接種の最大の目的発病をある程度防ぐことと、重症化を防ぐ為です。

ただ、予想したワクチンの型と感染したウイルスの型が合っていない場合はワクチンの有効率が低くなりますが、健康な大人ではおおよそ60%程度に発症を防ぐ効果があると考えられています。

インフルエンザワクチンの有効率って?

インフルエンザワクチンの有効率が60%程度と聞くと、ワクチン接種を受けると「100人中60人が発病しない」と考えてしまいますよね。実はそうではありません。例えば30人のグループが2つあるとします。1つのグループ全員は予防接種を受けず、もう片方のグループ全員は予防接種を受けたとします。

①予防接種を受けなかったグループ:30人中10人が発症

②予防接種を受けたグループ:30人中4人が発症

もしも、②グループ全員が予防接種を受けなかった場合、①グループと同じように10人発症すると予想されるため、予防接種を受けることで発症者を10人から4人に減らせたということになります。つまり、10- 4 = 6 で発症者を6人減らせたということが有効率60%という意味になります。もしも、②グループ中10人が発症した場合、有効率は10-10 = 0になり、有効率は0%になります。

経験談になりますが・・、我が子が接種した年はインフルエンザを発症せずに済んでいます。しかし、接種しなかった年は発症することが多いです。我が家においていえるのは、ワクチン接種を受けると感染しないか、感染して発病しても軽く済んでいるのかもしれません。つまり、ワクチン接種による予防効果は高いといえます(経験上、我が子においてですが・・)

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インフルエンザ予防接種は毎年受けなければいけない?

インフルエンザワクチンの予防接種を受けてから抗体ができるまでは、摂取してから2週間程度かかるといわれています(13歳未満の子供は2回接種をうけてから)。予防効果は約5ヶ月しかありません。インフルエンザウイルスが毎年変異する為です。大人はこれまで発病していない人でも感染していることがあるため、ある程度の免疫を獲得している可能性が高く1回の接種で済みますが、13歳未満の子供は免疫を持っていない可能性が高いため、接種間隔を2~4週間ほど開けてから2回接種します。ただ、4週間ほど間隔を開けた方が抗体が上がりやすいようです。

インフルエンザワクチンの予防接種は医療機関で10月頃から受けられるようになりますが、効果が出るのが接種後2週間後からになるため、2回目の接種は遅くても11月下旬までには済ませておきたいものです。

インフルエンザワクチンの接種で起こる副反応について

予防接種を受けると、抗体ができる(免疫がつく)こと以外に接種場所が赤み、腫れ、痛みがでることがあります。接種を受けた方の約10~20%に起こりますが、2~3日ほどで消えます。また、稀にですがアナフィラキシー様症状(発疹、蕁麻疹、かゆみ、呼吸困難など)がみられることもあります。ワクチンに対するアレルギー反応によるもので接種後すぐに起こることが多いようです。また、非常にまれですが重い副反応の事例もあります。因果関係はまだ不明ですが、ギランバレー症候群や急性脳症、急性散在性脳脊髄炎などが報告されているそうです。接種後の副反応による死亡者は国内で2011年10月~2018年4月まで1年毎に0人~3人と非常に少なく、ほとんどが基礎疾患のある高齢者の方々でした。

厚生労働省 インフルエンザQ&Aより

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まとめ

インフルエンザの予防接種は、麻疹・風疹ワクチンや水痘(みずぼうそう)ワクチンが90%以上の高い予防効果があるのに対し、60%程度の予防効果しか無く、完全に発病を防ぐことはできません。インフルエンザウイルスが非常に変異しやすく、ワクチンの型と合わない可能性がある為です。また、ワクチンの予防効果も接種後2週間後から約5ヶ月間と短くなっているため、毎年接種を受ける必要があります。

しかしながら、発病しても重症化を防ぐ効果は高く、集団感染の予防にも役立ちますので、インフルエンザの予防接種はなるべく早いうちに受けるようにしましょう。

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