喉の痛みは、風邪の初期症状として現れることが多いのですが、インフルエンザに感染した時は、熱が下がってきた頃にひどい喉の痛みや腫れを伴うことがあります。
痛みは激しく、時には食べ物を飲みこむのに苦労するほど辛い症状になります。今回は、インフルエンザによるひどい喉の痛みや腫れの原因や、ラクにする対処法について調べてみました。
ひどい喉の痛みや腫れの原因は?
インフルエンザにかかると、まず最初に急な38℃以上の高熱や筋肉痛・関節痛・倦怠感などの全身症状が現れ、次に1日~2日ほどしてのどの痛みや咳、鼻水などの症状が現れることが多いようです。特に喉の痛みはひどく、唾を飲み込んだり食べ物を摂るのも辛くなることがあります。
熱が下がるまでに2日~3日ほどかかり、のどの痛みや鼻水などの症状が改善するまでおよそ1週間~10日ほどかかるとされています。
タミフルやリレンザ等の抗インフルエンザ薬はウイルスの増殖を抑えてくれるお薬ですので、喉の痛みを直接効いて緩和させる作用はありません。病院で診察を受けるとアセトアミノフェン(商品名:カロナールなど)などの解熱鎮痛薬を処方されることがありますので、それを服用するといいでしょう。
インフルエンザウイルスの感染経路は主に飛沫感染と接触感染といわれています。飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみなどで飛んだ飛沫(水滴)が直接鼻や口の粘膜に届き、その中に含まれたウイルスが体内に侵入してしまうことで感染します。接触感染は例えば、感染者が鼻をかんだ後に手指にウイルスが付着し、ドアノブを触ることによってウイルスが他人に移り、鼻を触ったり食べ物をつかんで食べることにより口の中に入ることで感染が広がります。
私達の身体には免疫という外敵から身体を守る為の防御システムが備わっています。インフルエンザウイルスが喉の粘膜から侵入してしまうと、免疫細胞がウイルスの増殖を抑えようと抗体をつくりウイルスと結びつき破壊し、感染した細胞も攻撃されます。その過程で、発熱や痛みが生じるのです。喉の痛みや高熱、辛い頭痛、関節痛などの炎症は身体の免疫がウイルスと戦っている証拠になるんですね。
また、インフルエンザは非常に感染力の強く集団感染を起こしやすい為、学校保健安全法により出席停止期間が設けられています。
『発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで出席停止』
一般的にはインフルエンザに発症する前の潜伏期間からウイルスを排出するといわれているため、熱がなくても発症後5日間は外出を控え、安静にしましょう。インフルエンザは基本的に自然に治癒する病気です。熱が下がって無理をすると症状が悪化してしまったり、他のウイルスや細菌に二次感染してしまう危険性もあります。
のどの痛み、腫れを引き起こす病気とは?
インフルエンザにかかって熱が下がってきたのに今度は喉の痛みや腫れがひどくて辛い・・そんな症状はインフルエンザだけが原因ではないこともあります。喉の奥が痛む場合に考えられる症状にはいくつかあります。
扁桃炎
扁桃腺は口を大きく開けると見え、手で触れることもできます。口を開けた状態でのどの奥の方を見ると口蓋垂(こうがいすい:通称のどちんこ)という上の方から垂れ下がっているものがあります。この口蓋垂の両方の脇にあるのが「扁桃腺」です。扁桃炎は、ライノウイルス、コロナウイルスやアデノウイルスなどのウイルスや、溶連菌、ブドウ球菌、肺炎球菌などが原因になって痛みや赤く腫れるなどの炎症を起こします。症状がひどくなると扁桃のくぼみに白く膿がたまるようになり、扁桃全体に白い苔が生えたようにみえることがあります。
咽頭炎
咽頭とは鼻腔や口腔の奥にあり、上咽頭・中咽頭・下咽頭の3つに分けられています。咽頭には、咽頭扁桃や口蓋扁桃、通称のどちんこと呼ばれている口蓋垂などが含まれています。咽頭炎の原因はアデノウイルス、コクサッキーウイルスなどのウイルスの他に溶連菌、インフルエンザ菌などの細菌もあります。症状が悪化すると炎症を起こした部位に赤い発疹ができ、発熱や全身倦怠感などの症状を伴うこともあります。
熱が下がったのに再び発熱した場合はインフルエンザの症状の1つである二峰性発熱も考えられますが、インフルエンザが完治していないことが原因なのか、二次感染による咽頭炎になるのか識別は困難ですので、症状が辛い場合は早めに医療機関を受診しましょう。
喉の痛みや腫れをラクにする対処法は?
のどの痛みや腫れが軽い時はイガイガ感で済むこともありますが、痛みが強いと唾を飲み込むのさえ苦痛を伴うこともあります。そんな時はどのように対処すれば良いのでしょうか?
のどに負担をかけない
なるべく声を出さないようにしましょう。また、タバコやお酒なども控えましょう。
マスクを使って保湿する
インフルエンザの場合、熱が下がっても感染力はありますので他の人にうつさない為にもマスクを着用しましょう。マスクを着用することによりのどの乾燥を防ぐこともできますし、他の感染症にかかるリスクもある程度防ぐことができます。
イソジンなどのうがい薬を使う
うがいを行うことでのどの粘膜に付着した細菌やウイルスを洗い流すことができますし、のどの粘膜に潤いを与えることで病原体の侵入を抑える効果が期待できます。うがい薬による効果は無いという意見もあるようですが、うがい薬に含まれているポビドンヨードなどの有効成分には殺菌消毒作用がありますので、ウイルスがのどの粘膜に侵入してしまう前に適切に使うことで、ウイルスを効果的に除去することができます。私自身、のどに違和感がある時は必ずうがい薬を使ってうがいを1日5回くらい行っています。直ぐに効果がある訳ではありませんが、いつも数日で痛みが緩和していますよ。うがい薬は添付された説明書を読み、用法・用量を正しく守って使いましょう。
はちみつ、のど飴、トローチをなめる
はちみつには抗菌、抗炎症作用があるといわれています。はちみつに含まれている甘さの成分は果糖であるため、虫歯予防にも効果が高いといわれています。効果を期待するなら少し高価ですが純度100%のはちみつが良いでしょう。トローチやのど飴の場合は、舐めることで唾液が分泌されのどにうるおいを与えることができます。また、殺菌成分や生薬が配合されているものの方がより効果的です。
まとめ
インフルエンザにかかると急な発熱や筋肉痛、関節痛などの症状がまず最初に現れるのが特徴ですが、1日~2日ほどすると強い喉の痛みや腫れを感じることがあります。のどの痛みや腫れは身体の免疫がウイルスと戦うことによって引き起こされる炎症です。熱が下がっても、まずは安静にしましょう。のどの痛み・腫れにはうがい薬やマスク、はちみつやのど飴などを舐めることで少しずつ緩和していきます。
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